【静岡市葵区】研屋町ボタニカ・アートスペースで「You and I / 異なる視点　重なる視点」写真展開催中！

約15年という年月をかけて育んできた、40代女性ふたりの友情。
「morning」「night」など、私たちの日常に寄り添う7つのテーマを軸に開催されている写真展『You and I / 異なる視点　重なる視点』では、それぞれの人生の断片が光と影のあいだに浮かび上がります。

日常に埋もれがちな感情や、年齢を重ねたからこそ見える風景。
そんな静かな強さを感じさせる展示の舞台裏を、今回、特別にご紹介します。

出会って15年。違いを認め合うからこそ生まれた写真展

出会いは15年前。最初は、岩本さんへの憧れから始まった関係でした。
やがて音楽の趣味や似た境遇を通じて心の距離が近づき、なんでも話せる相談相手に。旅行に出かける仲になり、年齢の違いを超えて、それぞれの人生を語り合うようになりました。

そんなふたりが企画した写真展『You and I / 異なる視点　重なる視点』。
テーマは、日常の中の習慣や節目と結びつく「morning」「night」などの固有名詞を含む7つの言葉たち。
誰かにとっての「morning」は、静かな目覚めかもしれないし、慌ただしい始まりかもしれない。その人の暮らしや心のありようによって、同じ言葉がまったく違う風景を映します。

写真を通して伝えたいのは、その“違い”をどう捉えるか。
私たちは40代という節目に立つ女性として、それぞれが抱える感情や、言葉にしにくい想いを抱えています。
だからこそ、「morning」や「night」をどう受け止めているのか——写真という表現で、自分たちの輪郭を確かめてみようと思いました。

40代女性にそっと寄り添う視点

「ご結婚されてるんですか？」「お子さんは？」
悪意のない何気ない問いかけが、ふと胸に引っかかることがある。
40代の女性には、無意識にまとわりついてくる“当たり前”の前提があります。

けれど実際には、母であったり、娘であったり、姉であったり、妹であったり。
いくつもの肩書きが重なって、揺らぎながらも確かに“私”を形づくっている。
各々背景を持つふたりが、同じテーマをそれぞれの視点で見つめ、撮影に向き合ったのが今回の展示です。

「光と影」に向き合ったふたりのまなざし

岩本さんは「影」を、森本さんは「光」を追いかけてきた写真家です。
互いの作風を知るふたりは、「いつもとは逆のテーマを追ってみるのも面白いかもしれない」と話し合い、今回はあえて“光と影の両方”を見つめることにしました。

同じテーマでも、捉え方はまったく違う。
その違いが浮かび上がること自体が、写真の面白さでもありました。

仕事と写真、それぞれのバランス

岩本さんは、ブライダルを中心とした撮影を仕事としながら、プライベートではポートレートや日常の“記憶のかけら”を写真に収めています。
「写真には、時や空間を超える力がある」と語る岩本さんのまなざしは、過去の一瞬を今につなぐ行為そのものです。

一方、森本さんは家族写真の撮影と、障がい者支援の訪問介護を両立しています。
夜勤中心の働き方にすることで、日中に撮影時間を確保。
「介護も写真も、どちらも自分を支える大事な柱」と語るその言葉には、日々を丁寧に生きる芯の強さがにじんでいました。

「違い」を見つめるということ

この展示でふたりが大切にしているのは、「違っていること」の価値です。
違いを比べるのではなく、「どう違うのか」「なぜ違うのか」を見つめること。
写真は、そんな問いを私たちにそっと投げかけてくれます。

「違っていても、いい」
「私の感じ方で、大丈夫」

そんな気づきが、この展示から静かに広がっていけば——。
そんな願いが込められています。

写真の魔法に、もう一度出会うために

写真って、ただ加工して整えるものではなく、感情や視点がそのまま映し出されるもの。
「こんなふうに自由なんだ」「こんなふうに気持ちが写るんだ」——
そんな風に思ってもらえたら、写真の持つ力がきっと伝わるはずです。

写真という存在が多様化しすぎた今だからこそ、もう一度立ち止まり、写真そのものと向き合ってみる時間を。
きっと、心に残る何かと出会えるはずです。

会期中、ぜひ足を運んでみてください。
ふたりが真摯に重ねてきたまなざしと時間が、そこに静かに息づいています。

「森本裕香×岩本ゆうな 写真展」

You and I

異なる視点　重なる視点

開催期間：7/12(土)～20(日)

開催時間：13:00〜19:00
定休日：月曜日

※在廊日については各作家の公式SNSにてご確認ください。

・森本裕香Instagram / 岩本ゆうなInstagram

場所はこちら↓